線刻釈迦三尊等鏡像
せんこくしゃかさんぞんとうきょうぞう
工芸品 / 平安
- 奈良県
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平安
- 白銅製八稜鏡。鏡面中央上部に釈迦像を表し、その左右に普賢、文珠を、さらに釈迦像の左右に菩薩を、下方にやや大きく左に不動と二童子を、右に毘沙門天を配する。諸像は毛彫り。
釈迦像は連弁、敷茄子、華盤、反花をそなえた台座の上に坐し、連弁には宝相華文を付し、瓔珞を垂れる。光背は二重円光に宝相華文を刻み火焔をつける。
普賢像は合掌して白象の上の蓮華座に坐す。光背は二重円光。
文珠象は獅子の上の蓮華座に坐し、右手に剣、左手に梵篋(経箱)を安ずる蓮華を持つものと見られる。光背は二重円光。
不動明王は忿怒面で牙を出し、右手に剣、左手に羂索を握り、遍身火焔光を背にして岩座に立つ。左右には矜羯羅、制多迦の二童子が侍している。
毘沙門天は身に甲冑をまとい、左手に塔、右手に三叉戟を握り岩座に立つ。輪宝火焔光を背にしている。
上部の二菩薩は連弁、敷茄子、反花を具備した台座上に火焔付き二重円光を負って坐す。三尊の前には花を供え、散華が散る。
鏡背は、圏線で内外に分け、内区は花文座鈕を中心に旋転する瑞花と鴛鴦を交互に配し、外区は胡蝶と小鳥を置き、その間を唐草文でつなぐ。
- 径15.1㎝ 縁厚1.2㎝
- 1面
- 奈良県奈良市登大路町50番地
- 重文指定年月日:19531114
国宝指定年月日:19540320
登録年月日:
- 公益財団法人泉屋博古館
- 国宝・重要文化財(美術品)
大小九体の仏像を巧みに配し、精緻かつ流麗な線刻で表現している。鏡背の文様も鋳上がりよく、鏡像の中でも稀に見る優品である。