大刀〈鎬造/〉 たち〈しのぎづくり〉

工芸品 / 平安

  • 平安
  • 1口
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 個人
  • 国宝・重要文化財(美術品)

身幅が広く、鎬が刀身中央にあり、鋒に丸味があり、僅かに反りのついた大刀である。造込は鎬造、丸棟、反り浅くつき、鋒は横手なくフクラつく。腰元の平地に小孔を穿ち銅象嵌を施す。鍛えは大板目流れ、刃寄り柾目になり、地斑【じふ】交じる。区際【まちぎわ】より白気ごころの乱映り立つ。刃交は直刃に間をおいて小谷をつくり、足入り、総体に小沸よくつき、ところどころに細かい砂流【すながし】、金筋【きんすじ】かかる。焼出しは低く入る。帽子は直ぐ、先丸く僅かに返る。茎は生ぶ、刃方二段区、鑢目不詳、先斜めに切り、茎尻に六角形の手抜緒孔一個を穿つ。
 刃文は直刃に意識的に小谷をつくり、匂足を入れて刃文に変化を与えて技巧的となった初期のもので、地鉄【じがね】・刃文ともに健全で優れた作風を示している。奈良に流行した切刃造の直刀から平安時代中期以後の鎬造の湾刀(日本刀)に変遷する過程を示す作例として貴重である。
 なお正倉院御物中には本刀に近い形のもの一口、切刃造で鋒の丸いもの三口がある。

大刀〈鎬造/〉

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