組踊は、せりふと沖縄の伝統的な音楽と舞踊、舞踊を基礎とした所作で展開される歌舞劇である。
琉球王国の時代、国王の代替わりごとに新王を承認する冊封使(さっぽうし)と呼ばれる使節が中国皇帝から派遣されていた。組踊は、冊封使を歓待するため、躍奉行(おどりぶぎょう)であった玉城(たまぐすく)朝薫(ちょうくん)が創作したのがはじまりで、1719年に初演された。以後、士族の子弟によって演じられたが、明治以降は市井の舞台で演じられ受け継がれている。
組踊は、演じ手の洗練された動きや演劇としての筋の展開とともに、音楽を楽しむものとされてきた。組踊の音楽は、三線(さんしん)を弾きながら歌う歌(うた)三線(さんしん)が中心で、登場人物の心情を切々と歌いあげる。また演じ手のせりふは独特の抑揚をもって唱えられる。
組踊は、国立劇場おきなわ(沖縄県浦添市、平成16年開場)を伝承・公開の重要な拠点としている。現在、劇場の自主公演等を中心に、従来からの伝統組踊り保存会の公演と併せて、組踊の舞台公演は近年、充実をみせている。また、劇場は、保存会と連携し、伝承者の養成事業を実施して成果をあげている。