河口の稚児の舞 かわぐちのちごのまい

民俗 無形民俗文化財

  • 選定年月日:20130312
    保護団体名:河口の稚児の舞保存会
    公開日:毎年4月25日、7月28日(選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
  • 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 河口の稚児の舞は、河口浅間【あさま】神社の祭礼に奉納される芸能である。4月の「孫見祭【まごみまつり】」は、神輿渡御が祭事の中心で、稚児の舞は「御幣【ごへい】の舞」「扇【おうぎ】の舞」「剣【つるぎ】の舞」の3番が演じられる。一方、7月の「太々御神楽祭(オダイダイ)」は、稚児の舞が中心の祭礼で、「八方【はっぽう】の舞」「宮【みや】めぐり」を加えた全ての伝承演目が披露される。
 稚児になる少女は、氏子の中から広く選ばれている。稚児の扮装は、白の着付に緋色【ひいろ】の千早【ちはや】、指貫袴【さしぬきばかま】で錦の陣羽織を羽織り、緋色の襷【たすき】を掛ける。頭には瓔珞【ようらく】をかぶり、後頭部に長い熨斗【のし】を付ける。原則2人ずつで演じる「御幣の舞」、3人ずつの「扇の舞」、1人で演じる「剣の舞」の3番は、右手に鈴、左手に御幣・扇・剣などの採物【とりもの】を持つ形で、八方の舞は御幣の舞に準じる。最後の「宮めぐり」は、全員が右手に鈴、左手に扇を持ち、拝殿と本殿を結ぶ回廊を華やかに3回巡行する。全演目を通じ、摺り足を基本とするが、前後左右に移動する時、様式化された特徴ある足の動きを見せる。
 伴奏楽器は鋲打【びょうう】ち太鼓、カッコ(締太鼓【しめだいこ】)、笛の3種である。
 本件は、小学校二年生から六年生ぐらいまでの少女たちによって演じられる神
事芸能で、神楽【かぐら】の巫女舞【みこまい】の系統と見られる採物舞【とりものまい】であるが、芸能として洗練・様式化した面も併せ持っている。富士登拝の主要な拠点であった河口の下級神職が、富士講の信者たちのために演じた太々神楽【だいだいかぐら】の流れを汲むものとも考えられている。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)

河口の稚児の舞

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