源平海戦絵巻 第1図(紅白吐霓)

絵画 日本画

  • 中村正義  (1924-1977)
  • ナカムラ、マサヨシ
  • 昭和39年 / 1964
  • 彩色・紙本・屏風2曲・1隻
  • 160.5×224.5
  • 右下に落款、印章
  • 個展 東京、日本橋白木屋 1965

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源平合戦絵巻(紅白吐霓)   二曲一隻

中村正義

紙本彩色
一六〇・五×二二四・五
昭和三十九年 (一九六四)
東京国立近代美術館

日展のホープと目されていた中村正義(一九二四〜一九七七)の日展脱退(昭和三十六年)は、作風に大きな変化をもたらしただけでなく、反骨精神が一気に吹き出したかのように、鍛帳のデザインや舞台美術を手がけるといった、幅広い分野での活動を促すことになった。この「源平海戦絵巻」も小林正樹監督の映画『怪談』中の第三話「耳無し芳一」における壇の浦海戦の壮大なシーンを再現するため、ロケーションを補うものとして、監督の求めに応じて制作された異色作である。この「紅白吐霓」に始まり、「海戦」「玉楼炎上」「竜城煉獄」「修羅」の全五図からなり、歴史画と取り組むのが初めてな上に、映像に使われるための絵画という難しい条件の中での意欲的大作であった。この作品では金地いっぱいの細かく線描された波間に、紅白の旗をたなびかせた舟が無数に浮かび、まさにぶつかり戦いを繰り広げようとする瞬間が描されている。軍舟や紅白の向きや動き、人々
の豊かな仕草や表情など、躍動感にあふれたこの大スペクタクルには、旧来の「日本画」の型に納まりきらない正義の破格の表現を随所に見てとることができる。

源平海戦絵巻 第1図(紅白吐霓)

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