佐賀藩主鍋島家の正室や子女による和歌短冊の貼り合わせ。「御前様」は10代鍋島直正継室の筆姫にあたると思われ、徽姫・観姫はともに8代鍋島治茂の娘、猶姫は9代鍋島斉直の娘、貢姫は10代鍋島直正の娘である。
御前様 御廿三歳時/早梅 松かえのみとりもうつむ雪の中に はやさきそむる梅のひと枝
徽姫様 唯子/寄瀧祝 松風もつゝみか瀧の音に合て おさまれる代の声そ聞ゆる
観姫様 もり子/竹為友 植添ていく世さかへむすなほなる こゝろの友の窓のくれ竹
猶姫様 やす子/月前紅葉 木々はとく時雨もまたて染尽す にしきの庭の月そいろこき
貢姫様 御十七歳時/道のへの清水なかるゝ柳陰 しはしとてこそ立とまりつれ