京都の六斎念仏
きょうとのろくさいねんぶつ
概要
口に念仏や和讃などを唱え、鉦、太鼓、瓢などを打ちならしながら踊躍歓喜する「念仏踊」は、全国各地にいろいろの型が伝承されている。その中でも「京都の六斎念仏」は、これらの念仏系の芸能のみならず、能楽系、歌舞伎系の芸能をも多く取り入れながら発達してきたものである。これらは京都を中心として生まれた地域的特色が顕著な念仏踊であるので、これを重要無形民俗文化財に指定し、その保存をはかる。
六斎念仏は京都内十五か所で伝承されている芸能である。六斎とは仏教でいう月の八、十四、十五、二十三、二十九、三十の六日の斎日の意で、これらの日には悪鬼が出て来て人命を奪う不吉の日とされ、この日には身を慎んで、仏の功徳を修し、鬼神に回向し、悪行から遠離し、善心を発起せしめるべき日とされている。
この日には、念仏、和讃などを唱え、鉦、太鼓などで囃す。曲目は念仏系(発願、回向唄、弥陀願唱、念仏、結願など)、能楽系(道成寺、鉄輪、頼光、八島、石橋、安達が原など)、歌舞伎系(和唐内、手習子など)の系統に分けられる。また、このほか祇園囃子、四ッ太鼓などもあり内容は多種多様である。
六斎念仏の起源については、いろいろな説があるが明確ではない。また、この六斎念仏は空也堂(極楽院)と干菜寺(光福寺)の二つの系統からなっている。