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小倉遊亀(おぐらゆき)(1895− )
OGURA,Yuki
浴女 その一
Bathing Women No.1
1938(昭和13)年
絹本彩色・額装 209.0×174.5㎝
第25回院展(作者寄贈)
小倉遊亀は大津市に生まれ、幼少の頃より絵筆に親しんだ。雑誌『白樺』を通して後期印象派の画家たちやマチスに感化された後、大和絵や琳派を学び、安田靫彦に師事して、1926年の初入選以来院展を舞台に活躍している。小倉は日常生活に題材を取り、大胆なフォルムと澄んだ色調の平面によって独自の画風を確立したが、第25回院展に出品されたこの作品は四万温泉に取材し、翌年の院展出品作《浴女 その二》(東京国立近代美術館蔵)と対をなす作品であり、湯船にたたえられた透明な湯とタイルの線を背景に入浴する女性たちは、明るく爽やかな現代的な感覚を伝えている。