阿弥陀堂(白水阿弥陀堂) あみだどう(しらみずあみだどう)

建造物 宗教建築 / 平安

  • 福島県
  • 平安後期 / 1160
  • 桁行三間、梁間三間、一重、宝形造、とち葺
  • 1棟
  • 福島県いわき市内郷白水町広畑
  • 重文指定年月日:19020731
    国宝指定年月日:19520329
  • 願成寺
  • 国宝

願成寺阿弥陀堂(白水阿弥陀堂) 一棟

願成寺は、藤原秀衡の妹徳尼が夫である磐城(福島県および宮城県の一部)の豪族岩城則通の冥福を祈って永暦元年(一一六〇)に建てた無量寺院に始まると伝える(磐城史料)。
寺地は背後の経塚山からのびる東西の屋根によって三方を囲まれ、南方に白水川を望む。阿弥陀堂の前方と左右を大きな苑池が囲い、池の中央北岸寄りに配した大中島の南北に橋をかけわたした浄土式庭園をもつ。阿弥陀堂は一間四面堂で、正面三間と両側面前瑞間および背面中央間を扉口、その他の柱間を板壁にして、阿弥陀堂の最も標準的なc平面形式をもつ。柱上の組物は出組で、勾配がゆるく、先端の反り上がりの少ない深い軒を支える。内部は四天柱内の後ろ寄りに高欄付黒漆塗須弥壇を構え、本尊阿弥陀三尊像、持国天、多聞天像を安置する。堂内前面に折上小組格天井を張るが、庇部分の天井は中世に加えたもので、もとは化粧屋根裏である。
内陣の長押、来迎壁、小壁、天井には仏画・繧繧彩色を施す。四天柱には鋲・花菱風飾金具を帯状に打ち並べ、上下五段に区分して仏画を描き、下端部にはいまはないが蓮花座をつけていたらしい。また、内陣長押角に木製漆箔の飾板を打ちつけるなど装飾性に富み、金色堂を模してこの阿弥陀堂を造営したと伝えるだけあって、安置仏ともに両堂の類似点は多く、平安時代後期に隆盛した浄土美術を代表する作品である。

【引用文献】
『国宝大辞典(五)建造物』(講談社 一九八五年)

阿弥陀堂(白水阿弥陀堂)

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