S52-06-022[[永安寺東古墳]えいあんじひがしこふん]・[[永安寺西古墳]えいあんじにしこふん].txt: 本古墳は、熊本県北部、菊池川右岸の沖積地をのぞむ丘陵裾部に営まれた装飾古墳で、永安寺と呼ばれる寺院跡をはさんで東西に約40メートル離れて並列して所在し、永安寺東古墳・永安寺西古墳と並び称せられる。
永安寺東古墳は、墳丘の大半が失われているが、丘陵裾斜面に営まれた比較的小規模な円墳とみられており、東南に開口する横穴式石室のうち、後室及び前室の一部が残っている。巨大な阿蘇泥溶岩の加工石材を組合わせて石室を築いており、石室前にも石材が倒れ落ちている。後室の正面に板石で石屋形を設ける。長さ2.6メートル、幅2.4メートル、高さ2.7メートルあり、前縁に三角文の刻線がみられ、本来彩色されていたものとみられる。前室は、現在、長さ1.6メートル、幅2.3メートル、高さ1.6メートルで、前室奥壁の左右2石に浅い縦線を彫り、この左右に連続三角文を線彫りし、赤色に塗る。左右の側壁にも、円文、舟や馬かと見られる文様等が描かれている。彩色はあざやかで、華麗である。
永安寺西古墳はやはり小規模な円墳とみられ、東南に開口する単室の石室を有する。石室は、長さ3.4メートル、幅2.8メートル、高さ3メートルで三方を巨石の1枚石で構築し、小切石で持送り1枚の天井石を架している。奥壁の石屋形や敷石の一部が残存している。奥壁と両側壁にそれぞれ3段の円文が線刻され、一部に赤彩が残っている。また右壁には、武具又は舟かとみられる線刻が2個ある。
これらの古墳は、玉名市周辺に多い装飾古墳の中でも優れたものであり、全国の装飾古墳を理解していく上で、欠くことのできないものである。