新潟県の魚沼地方特に塩沢・小千谷地区は古来より上質の麻織物を産し、江戸時代には上布と称して幕府へも上納され、帷子(かたびら)として着用された。この時代以降、布の原料である苧麻(ちょま)は会津地方に産する良質のものが使用され、また、それまでの平織に工夫を加えた縮も作られるようになり、生地を薄く軽く作る技術の向上がみられる。雪が苧麻の繊維に適度な湿気を与え、また雪上の晒(さらし)が漂白に役立つ等という雪国の自然環境と風土とが生産の大きな条件であった。
これらの技術は雪国としてのこの地方の文化の特質を有するとともに、原料から加工技術の全般にわたって純粋に古法を伝えていて貴重な存在である。