漢詩の佳句を類別集録したもので、大江維時【これとき】(八八八~九六三)の撰と伝え、近代にその名が知られた稀本である。
本書は鎌倉時代の古写本で、押界のある斐紙上巻(墨付)四十七紙、下巻(墨付)六十紙の粘葉装。類別は四時・時節・天象・地理・人事等十五項目で、それぞれに相当する佳句が集められている。所載の佳句は七言二句を通則とするが、まま七言絶句もある。巻下の末に所収の詩数千八十二首、作者百五十三人とある。作者は大部分シナ人である。当時この佳句につづいて撰せられた日本佳句・〈正/続〉本朝秀句・〈正/続〉新選秀句などと一連のものであるが、本書が古写本で伝来したことは注目に価することで、平安朝の漢文学研究上貴重な典籍である。