波螺鈿鞍 なみらでんくら

工芸品 / 鎌倉

  • 福岡県
  • 鎌倉
  •  二枚居木、総体黒漆地螺鈿の鞍橋で、両輪とも磯高く、洲浜を深く刳る。前輪は肩緩やかに下り、やや低めに手形を彫り込む。後輪は、雉股の張りが強く、尻厚くふくらむ。二枚居木は両輪の膚付に切り組み、居木には力革通しの孔をあけ、裏に切目を彫る。
     表面は総体に螺鈿で波文を表す。薄めの夜光貝を用い、菱形の単位の貝を波線状に切り透かし、張り詰める。
     両輪、居木には部分的に後世の補修に際して梨子地が施される。また、居木の下縁、前輪寄りの部分には後世に削られ、居木の形が改変された形跡が認められる。
  • 前輪高27.1 馬挟30.5 厚4.0
    後輪高31.1 馬挟39.9 厚4.6
    居木総長43.0 居木幅11.5 居木先幅(前)9.2 (後)12.4 乗間29.7 (センチ)
  • 1背
  • 福岡市美術館 福岡県中央区大濠公園1-6
  • 重文指定年月日:19850606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 福岡市
  • 国宝・重要文化財(美術品)

筑前福岡藩主黒田家に伝来した鞍で、二枚居木総体黒漆地に螺鈿で波文を表している。形態的には前輪の山形が自然な丸みを有し、手形の位置がやや下がり気味であるなど永青文庫の時雨螺鈿鞍(国宝)や文化庁保管の桜螺鈿鞍(重要文化財)と近似し、磯高く厚みのある前輪や引き締まったふくらみをもつ後輪など量感豊かで雄勁な形姿を見せている。また、薄めの夜光貝を用い、菱形を単位とした貝を波線状に切り透した精緻な螺鈿技法など鎌倉時代の螺鈿鞍の特色をよく示している。

波螺鈿鞍

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