青蓮院吉水蔵聖教類(千六百二十二種) しょうれんいんきっすいぞうしょうぎょうるい

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 平安 鎌倉 南北朝 室町 安土・桃山 江戸

  • 平安~江戸
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 青蓮院
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 京都青蓮院吉水蔵は、平安時代以来、天台顕密聖教の秘庫として歴代門跡が継承し、今日に伝えられたもので、現在は紙箱一〇八箱に整理された聖教類一、三一七種、木箱三合に収める聖教類一三七種、いわゆる「二九一」箱に収める聖教類一六八種の計一六二二種から構成されている。
 その内容は、大別して経典、論疏、儀軌、陀羅尼、真言、私記、諸法次第および付法印信等で、その書写年代はおおむね平安時代および鎌倉時代で、一部に室町、江戸時代の書写本を含んでいる。これらの聖教類は、その多くが書写年紀、筆者、伝受者、加点者、伝領者等を明らかにする奥書を伝えているのが特徴で、伝本の系統としては、前唐院、青竜蔵、円融蔵、止観院、総持院、勝林蔵等叡山諸院の名がみえ、伝領本としては谷御本(皇慶本)、三昧阿闍梨本(良祐本)、青蓮房本(行玄本)等が多く、皇慶およびその法流である長宴、勝範、明快、安慶、良祐、行玄等の自筆本を伝えていることも貴重である。なお、これら聖教類には訓読点が加えられた本が多く、平安、鎌倉時代の天台宗内における訓読点、特に宝幢院点のあり方を伝えているのも注目される。
 また、印信類は、谷阿闍梨皇慶の受けた印信およびその授けた印信をはじめ、谷流、梨本流、三昧院流、青蓮房流等の諸法流の相承を伝えたもので、平安時代の天台法流の根本史料として価値が高い。また弘安二年(一二七九)書写になる『遮那業血脈譜』(一巻)は天台の諸法流の継受を詳細に伝えて貴重である。なお、聖教中には『金剛般若集験記巻下』(一巻、平安時代後期写本)、『法華経音義』(一帖、鎌倉時代前期写本)などもあって注目される。
 この青蓮院吉水蔵聖教類は、平安、鎌倉時代に隆盛を極めた天台教学の最もまとまった遺品として貴重であり、その全体の保存を計ろうとするものである。

青蓮院吉水蔵聖教類(千六百二十二種)

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