この芸能は、愛知県北設楽郡設楽町田峰の田峰観音堂の祭のおり(二月十一日)に堂の内陣や境内で行なわれる。
扇などを持って僅かに三・三・九度に前後し廻転するだけの、伽藍様にささげる式舞(扇の舞、仏の舞、万歳楽等あり。昼田楽と言う)、鍬作り・種選び・田打などから田植に至るまでの田遊び(夜田楽と言う)および夜更けて肌寒い庭上に四方に篝火を焚いて行なう朝田楽(最初に棒・太刀・扇等を持って三拍子で四方を巡る所作があり続いて多数がびんざさらを持って舞う惣田楽、殿面、女郎・翁面などの面の舞と続き、駒と獅子の舞で終る)から構成されている。
古風な田遊び・田楽の形式をよく伝え、当地方田楽の代表的なものである。