蝋型鋳造 ろうがたちゅうぞう

工芸技術 金工

  • 選定年月日:19740409
  • 記録作成等の措置を講ずべき無形文化財

 蝋型鋳造【ろうがたちちゅうぞう】法は、蝋の特性を生かした鋳金の一技法として、古くから発達し、わが国では飛鳥、奈良期の小金銅仏の製作を始めとし、広く利用されてきた。近く明治期には、大島如雲、鈴木長吉等数多くの名工が出ている。
 粘土で作った中型の上に、蜜蝋と松脂【まつやに】を練合わせた蝋材を貼って、鋳物の原型をこしらえる。この原型に土と埴汁【はじる】をまぜた鋳物土を被せて焼き上げ、蝋材を除去すれば、焼き固められた鋳型(雌型)ができ上る。型が冷め切らぬ中に、溶けた金属(湯)を、湯口から鋳型に注ぎ込み、冷却を待って、型を取除けば鋳物が得られる。これが、蝋型を用いた鋳造法の大まかな次第である。蝋型鋳造法が他の技法に比べてすぐれる利点は、一、蝋製原型は細工がしやすく、複雑精緻な形態の鋳物造りに適すること、二、原型のもつ流麗で柔和な風合が、鋳型を介して鋳物の肌に移植され得ることであろう。

蝋型鋳造

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