絵画 / 江戸
蕪村(享保元年~天明三年、一七一六~一七八三)は、安永年間(一七七二~一七八〇)末より謝寅落款【しやいんらつかん】を用いたいわゆる謝寅時代に入り、この頃から緑色と藍を基調にした色彩感覚の溢れる絵を描いて独自の様式を確立するが、他方、墨の効果を十分に生かした水墨画なども描いた。本図はその一つで、唐代の詩宗、李太白の七言絶句「峨嵋山月歌」に画想を得て描かれたもので、峨々たる山の輪郭や夜気をこめた空間の墨の刷毛描きなど水墨の妙味を尽しており、蕪村の水墨画を代表する作品といえる。
紙本墨画淡彩富嶽列松図〈与謝蕪村筆/〉
与謝蕪村
紙本淡彩春光晴雨図〈与謝蕪村筆/〉
紙本淡彩山野行楽図〈与謝蕪村筆/六曲屏風〉