木造薬師如来立像(祇園社観慶寺旧本尊)

彫刻 / 平安

  • 平安
  • 1躯
  • 重文指定年月日:19930610
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 大蓮寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 京都・祇園社(現、八坂神社)本殿の西にあった観慶寺の本尊として祀られていた薬師如来像で、明治初年の廃仏毀釈の際、寺は廃され、本像は大蓮寺に移された。
 檜材の割矧【わりはぎ】造で、頭体幹部は木心を中央に籠めた縦一材から造り、左耳半ば、右耳後を通る線で前後に割矧ぎ、内刳【うちぐり】を施し、割首【わりくび】とする。体部は前後材の間にマチ材数材を挟み、像の厚みを増している。両肩外側部、左手首、左袖口(内、外)、右前膊半ばより先、右手首、袖内側、袖口外側等を別材矧付とする。表面は肉身部を漆箔、衣部を彩色とするが現状はほとんど剥落している。
 その作風は典型的な藤原和様を示しているが、全体にゆったりと大らかな気分があり、伏し目ながらも見開きの強い両眼を刻む面貌には、穏やかな中に力強さも感じられる。
 祇園社は記録によれば平安後期、延久二年(一〇七〇)と久安四年(一一四八)に焼亡しているが、本像は様式からみれば前者の火災後の復興造像である可能性が高い。像の出来栄えやその由緒からみて、定期の次世代の一流仏師の手になるものであろう。

木造薬師如来立像(祇園社観慶寺旧本尊)

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