梵鐘 ぼんしょう

工芸品 / 平安

  • 奈良県
  • 平安 / 977
  • 銅製鋳造。鐘身胴部は、幅広の縦帯によって三分割し、乳の間、池の間、草の間等の三区を作り出す。上帯、下帯、駒の爪は設けない。三本の各縦帯の下方にそれぞれ八葉の楔形を連ねた花形撞座を陽鋳によって表している。鐘身を区画する紐は各一条で、撞座を結ぶ中帯の主線のみ二本とする。乳の間には、各区毎に尖頭形の小型の乳が三段三列に配置される。また、笠は緩やかな照りむくりをつけ、頂点に据えた龍頭は平板な鏃形を呈している。胴部には上中下の三段に分かれて二本の鋳型分割線の痕跡が認められるほか、笠上の龍頭両脇に、円形の湯口を二個設ける。また、龍頭は、鋳ぐるみとする。
  • 総高22.9 身高17.7 口径15.5~16.0
    龍頭高5.2 撞座径2.2 縁厚0.5~1.0 (㎝)
    重2745(g)
  • 1口
  • 奈良国立博物館 奈良県奈良市登大路町50
  • 重文指定年月日:19520719
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 国(文化庁)
  • 国宝・重要文化財(美術品)

本鐘は、高さに比べて口径が大きく、小型ながら肩から裾にかけてなだらかに拡がる外姿は優美である。本鐘は、龍頭、乳、撞座などの表現がやや異風を呈しているが、全体におおらかな造作で、小振りながらも優れた形姿を示している。保存状態も良好で、当時の鋳造技術の水準を知る上でも重要な資料。平安時代後期の紀年銘鐘として極めて貴重である。

梵鐘 ぼんしょう

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