工芸品 / 奈良
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奈良 / 727
- 鋳銅製。高さに比して口径が大きい。図案化された竜頭は、やせて丈高い。笠は素直に盛り、二重に圏線を廻らすが、この内側の紐を利用して竜頭が力強く笠の上面を噛む状態を巧に表す。竜頭と撞座との関係は古式で、単弁十二葉の中房の大きい撞座は簡素で力強く表現され、位置は後世のものに比べてかなり高い。
上帯下帯に文様はなく、乳は先のやや尖った円筒形の最も単純なものを、各区四段八列宛生前と並列させている。銘は撞座のある縦帯の一つに一行二十字宛四行を陰刻する。
- 総高149.0 竜頭高26.0 口径90.3 (㎝)
- 1口
- 重文指定年月日:19020417
国宝指定年月日:19521122
登録年月日:
- 興福寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
奈良時代の梵鐘で銘文を有するものは、妙心寺鐘、劔神社鐘と本鐘の三口である。全体に装飾性が少なく、妙心寺鐘の系統をひく竜頭の鐘身に対してやや小振りにみえる。総じて形姿は優れ、鋳上がりも美しく、雄大荘重な名鐘である。