工芸品 / 安土・桃山
- 大阪府
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桃山
- で、黄白色陶胎、半筒形の茶碗である。轆轤成形の後、ゆるやかに歪ませ底から腰には面取り風に大きく篦削りを施す。口辺にはわずかに起伏をつけ、胴の内面上部には轆轤目が見られ、見込みには浅い茶溜まりをつくる。底には低く幅広の高台を削り出すが畳付きの中央をさらに削った二重高台とする。胴の二方に山と杭、輪違【わちが】い風の文様をそれぞれ鉄絵具で描き、全面に長石釉【ちようせきゆう】を厚く掛けるが底は土見せとする。口辺や腰の一部に緋色が現れる。茶溜まりの周りに小さな目跡が三か所みられる。
- 高8.6 口径12.5 高台径6.4 (㎝)
- 1口
- 公益財団法人湯木美術館 大阪府大阪市中央区平野町3-3-9
- 重文指定年月日:19970630
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 公益財団法人湯木美術館
- 国宝・重要文化財(美術品)
美濃焼のなかで織部【おりべ】とともに桃山茶陶を代表する志野の作。志野は茶碗・水指などに優品を多く残している。本茶碗も桃山茶陶の作行にみられるように轆轤成形した後に歪ませて作為を加えるが、おだやかな抑揚とし、ゆったりとした作行をなす。厚く掛けられた長石釉は潤いがあり、口辺や腰にはほどよく緋色の焦げが生じ、鉄絵具の文様も隠見して志野独特の趣を生み出している。志野茶碗(卯花墻 国宝 三井文庫蔵)とともに志野茶碗を代表する優品である。