志野山水文矢筈口水指 しのさんすいもんやはずぐちみずさし

工芸品 / 安土・桃山

  • 大阪府
  • 桃山時代
  • 素地は黄白色陶胎で、轆轤成形により胴部を筒形に作りだす。底は平底とし、荒い糸切りを残す。胴には全体に縦に大きく篦削りや篦彫りを施し、胴裾には篦削りや篦彫りを巡らす。内面四方にも大きく縦に撫でを施し、胴はわずかに撫四方ぎみとする。口部は矢筈口とし、口辺は山道状に緩やかに起伏をつけ、口辺の下が丸く突出しややなで肩をなし、わずかに張った胴に連なる。胴の一方には鉄絵具で低い山に大きな樹木を、また一方には籬と桧垣を描く。長石釉を全体に掛けるが、底は土見せとする。胴には随所に緋色が現れる。
     口辺には目跡が四か所残る。
  • 高16.8 口径16.0 底径17.1(㎝)
  • 1口
  • 大阪府大阪市北区中之島3-2-4
    中之島フェスティバルタワー・ウエスト四階
  • 重文指定年月日:19980630
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 公益財団法人香雪美術館
  • 国宝・重要文化財(美術品)

志野は美濃焼のなかで織部とともに桃山茶陶を代表する焼物で、茶碗や水指などに優品を数多く残している。本作品のような矢筈口水指は、志野水指のなかでは最も作品の数が多い。
 本作品は、胴裾に巡る起伏をつけた二条の篦彫りを施し、その上に鉄絵具で低い山に大きな樹木を、他方には籬や桧垣を奔放に描くが、文様はくっきりと現れる。厚く掛けられた長石釉の釉膚もよく溶けて潤いがあり、胴部にはほどよく緋色の焦げが随所に生じる。なで肩をなす胴部が穏やかな形姿を示し、妙味あふれる鉄絵が施され、志野独特の緋色がことに鮮やかに現れた、志野水指を代表する作品である。

志野山水文矢筈口水指 しのさんすいもんやはずぐちみずさし

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