工芸技術 漆芸 / 昭和以降
蒟醬は、漆芸の装飾技法の一つで、漆地を蒟醬剣(彫刻刀)で彫り、彫溝に色漆を埋めて研ぎ出し、文様を表す技法である。江戸時代末期以来、現在の香川県高松市で盛んになった。 本作品の素地は、榀(しな)の板の芯に竹ひごを編んだ網代を重ねた籃胎である。網代の編目を漆地の表面に微かに浮かび上がらせて、静かな水面を表現し、蒟醬で水草の菱を描いている。大小疎密の点彫を使い分け、緑漆を基調とする菱のところどころに黄・朱・褐色漆が併用され、グラデーションによる表現の工夫もみられ、効果的である。
籃胎蒟醬水指 「華」
太田加津子
籃胎蒟醬茶箱「春風」
太田儔
蒟醬技術記録 (1)盆
磯井如真