円仁自筆書状〈十一月二十四日/〉 えんにんじひつしょじょう

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 平安

  • 円仁
  • 平安
  • 1通
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 青蓮院
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 慈覚大師として名高い天台座主円仁(七九四-八六四)の自筆書状で、現状は未表具のままに折りたたまれている。料紙の右端に後補の薄手楮紙(横二三・〇センチ)が付され、「大師手跡『慈覚』【(後筆)】」の端裏書が記されている。
 本文の料紙は楮紙で、本文は一三行。末に「十一月廿四日」の日付けと、「闍梨房」の宛所があり、ついで「以廿五日可始修也」の追而書がある。本文の内容は、円仁が太政大臣藤原良房の宣を奉り、今上天皇の悪夢恠異を除厄するため、延暦寺諸院に寿命経の奉読を命じたもので、日数以下、必要な料物について指示を加え、粗略なきことを命じている。文中にまま加筆訂正があるが、これも本文と同筆と認められる。文中の今上天皇については、これを文徳天皇とする説もあるが、確証はなく、藤原良房との関係を考慮すれば清和天皇の可能性が高い。
 円仁の自筆文書の遺例は極めて稀で、これまで「三聚浄戒示」(園城寺所蔵、国宝、智證大師関係文書典籍のうち)中の円仁印信(二通)にある自署などが知られているにすぎない。
 本状はつとに「古文書時代鑑」に収められて著名なものである。

円仁自筆書状〈十一月二十四日/〉

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