瑠璃釉桜花散文と流水文の碗。器形、成形の特徴から、両者は同一陶工の手になる。桜花散文は濃淡瑠璃釉を掛け分け、桜花に赤、金を使用。流水文は染付で流水をあらわした素地に金彩で流水と水玉をあらわし、地を緑絵具で濃く塗り埋める。ともに金彩の使用開始年代が遡る例として貴重な資料。同文様の台を伴った図柄や器形なども珍しく、焼成技法や色絵手法、釉薬の用い方に見られる特徴からは、大川内山に鍋島藩窯が築かれる以前の有田岩谷川内の御道具山を推測することができ、また色絵に金彩を使用する開発期の貴重な作例といえる。初代鍋島勝茂から菩提寺である高伝寺に寄附され、大正14年に鍋島家に返納された。