紫根染 しこんぞめ

工芸技術 染織

  • 選定年月日:19780325
  • 記録作成等の措置を講ずべき無形文化財

 紫根染は、現在布染と糸染があり、布染は昭和三十二年に秋田県花輪町の栗山家の技法が記録選択された。八重樫家に伝承される技法は、現在知られている唯一の糸染であり、布染の場合と染色法に異なる点がある。同家に伝承された沿革は明らかでないが、古くから毎年紫根を採集して貯えておき、時に応じて染めを行ない、自家用の着尺、夜具地、座蒲団地、帯地などを織ってきた。紫根は自生のものでなければならず、自生地はきわめて少ないため採集は困難である。かつこの技法の唯一の伝承者である八重樫フジが高令であるため、記録の作成が必要と認められる。
 技法の概要は、ニシコリの木灰とゴ汁(大豆)による下染を行ない、石臼と木杵で砕いた紫根を麻袋に入れ、湯をかけてもみ出した色素で下染を施した糸を染める。下染は三日間を要し、紫根による染めはほぼ五回くり返し一日程度を要して本染と称する濃い紫を得る。

紫根染

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