藍は、堅牢で実用的な塗料として古くから広く利用されており、歴史上の染織作品にも使用例が多く、その修復にとっても、また今日まで伝承されている伝統染織技術にとっても欠かすことのできないものである。現在、僅かながら各地に紺屋が残り、藍染も続いているが、藍染料である〓【すくも】の良品が入手困難となっている。加えて阿波藍以外の入手が殆ど不可能な今日、阿波藍の保護、その加工技術者の育成を行ない、伝統染織技術の保存伝承を図る必要がある。
阿波藍は、江戸後期にいたり、他の産地を圧して、名声をはせたが、その裏付けとなった発達した加工技術が伝承されており、保存技術として貴重であると認められる。