本幅は、元代の禅僧月江正印(一二六七)が、わが国入元僧友雲土思(一二九九~一三七〇)の帰国に際して与えた壮行の偈である。文中、士思を「善説法要如風雷」云々と称えているが、この偈は「友山録」(下)にも収められている。その本文と本幅を対比するに異同はないが、首を少欠していることが惜しまれる。友雲士思(後に友山士偲と改む)は、二十歳で入元して滞在十八年に及び、貞和元年(一三四五)に帰国し、後に東福寺三十二世を嗣席した。
本墨蹟は、月江正印と友雲士思の親交を示す遺墨であり、日元交流史料としても貴重である。