奥院は當麻寺の塔頭の一つで、古くは往生院と称し、知恩院の奥院であった。
本堂は寄棟造、本瓦葺、正面柱間七間の木柄が太い建物で、軒の低い奈良らしい伝統的な形態をよく留めている。
方丈は六室構成の書院造の建物で、比較的太い角柱が一間間隔にたち、古式を示している。仏壇が撤去されるなど改造はあるが、柱にのこる痕跡から復原は可能である。
鐘楼門は、江戸時代前期の数少ない鐘楼門のひとつで、釣合がよく、保存状況もよい。
意匠の優れた本堂や方丈、鐘楼門など、桃山時代から江戸時代初期の建物がそろっている点でも貴重である。