この芸能は、富山県下新川郡宇奈月町明日【あけび】の真言宗法福寺の観音会のおり(四月十八日)に演じられるもので、北陸方面の仏寺における稚児舞はその類例も少なく、地方的流派的に特色の濃いものである。また舞楽の地方民間化し、さらに稚児のたずさわる点は芸能史的にも貴重である。
演目は、矛の舞、太平楽、臨河楽・万歳楽・千秋楽の五曲からなる。
舞人は十歳から十四歳までの男児(大稚児・小稚児各二人)で、矛の舞のほかは四人で舞う。
稚児は、法会当日、僧衆とともに本堂に参拝するが、肩車で舞台入りする慣習を持っているなど、民俗的にも特色のあるものである。