この芸能は、福井県丹生郡清水町大森の賀茂神社の祭のおり(四年目ごとの二月十四日)に行なわれるもので、氏子が初春に際して、その年の豊穣を予祝して演じる田遊びの一種である。
庭元に集合した一同は、祭場になる民家まで行列し、そこの米俵上に戸板を渡した舞台で、稚児による田楽踊、青年による田遊びなどが行なわれる。
行列は獅子神楽・大名行列・地走り・大団扇などに続いて飛子・ささら・もどきなどの舞子一同が練行する。また、田楽踊は、はじめに順の舞風の一人舞があり、次いで、舞台で花笠をつけて四人で踊る。歌詞はないが、その舞振りは可憐である。
各芸能次第ともそれぞれ古風であり、田遊びの一典型として、きわめて重要なものである。