大阪市中央公会堂は,中之島地区の東端部にある。北浜で株式仲買商を営んでいた岩本栄之助の寄付によって,大正7年10月に竣工した。
設計は,指名設計競技に一等当選した岡田信一郎の設計案をもとに,実施設計は辰野金吾,片岡安が中心となって進めた。
構造は鉄骨煉瓦造,三階建,地下一階である。一,二階の吹き抜けの大集会室,三階の中集会室,特別室,小集会室などを中心に各室が配されている。
大阪市中央公会堂は,ネオ・ルネッサンスを基調にバロック的な躍動感を加味した意匠で,我が国における様式建築の習熟の過程をよく示している。
我が国の煉瓦を主体とした建築の到達点をかざる建築のひとつといえ,高い価値がある。