陳賢【ちんけん】は希三といい、大玄と号した。伝歴については不明な点が多いが、作品の年紀から崇禎・順治(一六二八~一六六一)の間に活躍した道釈画家と見られ、作品には黄檗【おうばく】僧隠元や木庵が著賛しているものが多いところから黄檗宗と深い関係にあったと想像される。彼の画法は立体感を表わす面貌の賦彩法のように西洋画法を加え黄檗宗肖像画法と相通じるものを示して興味深く、また本図においては観音図ながら士女図的な面白さが表現され中にはマリア像を思わせるものもあり、時代の動きを様々に具現しているのも高く評価される。加うるに本図は隠元(一五九二~一六七三)が題を書し全図に著賛しており、陳賢の諸作品の中で最も注目される。