太刀〈銘正恒/〉 たち〈めいまさつね〉

工芸品 / 平安

  • 正恒
  • 東京都
  • 平安
  • (造込)鎬造、庵棟。小鋒で、細身の太刀。腰反り高く踏ん張りがある。
    (鍛)小板目肌よく約んで、地沸え細かくつき、地景頻りに入る。乱れ映りが淡く立つ。
    (刃文)広直刃に小乱れ交じる。匂口は深く、小足・葉入り、小沸えよくつく。帽子は、焼き深く直ぐに入り、先小丸に浅く返る。やや掃きかけこころあり。
    (茎)茎先は浅い栗尻。勝手下がりの鑢目を切る。生ぶながら先をやや伏せる。目釘孔一つ(ただし上下に埋金)。
    (銘)佩表の目釘孔下にやや大振りの二字銘を切る。
  • 刃長71.6 反り2.75 鋒2.45 茎長19.6 元幅2.72 先幅1.65 元重0.7 先重0.35
  • 1口
  • 台東区上野公園13-9
  • 重文指定年月日:19500829
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 文化庁
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 鎬造、小峰で、腰反りが高く踏ん張りがついた健全な体配を示す作品である。小乱れを混じえた広直刀に乱れ映りが淡くたち、古調な刀文を焼く古典的な太刀姿に古備前の優美な作風が漂っている。本作は、平安時代末期のいわゆる古備前正恒の作とされる。
 正恒は、平安時代後期に活躍した古備前の刀工であるが、銘ぶりが多様であることから数工あるといわれる。本作品は、数ある遺例の中でも上手の作の一口である。越前丸岡藩有馬家伝来と伝え、家紋散糸巻太刀拵えが付属する。
 ともに伝える糸巻太刀拵えは、金梨子地鞘に家紋を蒔絵で配置し、柄巻・渡巻に金茶糸を巻く。総金具は、赤銅魚々子地に金象嵌で家紋を散らした精緻な作である。鞘はやや丸みを帯び、金具には大小の家紋を密に据えるなど、江戸時代後期の糸巻太刀拵えの典型を示している。ほかに、やや手は異なるが梨子地に家紋を配した組み立て式の刀掛一基をともなう。

太刀〈銘正恒/〉

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