- 室町
- 文台：長方形の甲板両端に筆返しを、裏面四隅に猪目を透かした刳形脚を付ける。甲板上面全体を梨子地とし、平、研出、高蒔絵に切金を散らして土坡に末、藤、流水、雲などを表す。筆返しは内側を沃懸地、外側を梨子地とし、甲鋳た側面は沃懸地に、四角と長側面中央に金銅魚子地藤花文彫金具を打つ。四脚の外側は梨子地とし、猪目および周縁に金銅素文覆輪を打つ。
硯箱：長方形、合口造り、削面取りの箱で、底四隅には低い刳形脚を付す。身全体に嵌め込む形で懸子を納めるが、懸子の側板は身の合口部立上がりとして機能する。身の中央には長方硯（後補）と金銅円形水滴を置き、懸子には墨柄、刀子、錐を納める。蓋甲は文様、技法とも文題と同じで、蓋裏および墨柄、刀子、錐の柄には梨子地に藤花を一枝表す。 - 文台 縦33.2 横56.4 高10.6
硯箱 縦25.7 横12.7 高8.6 （㎝） - 1具
- 重文指定年月日:19800606
国宝指定年月日:
登録年月日: - 防府天満宮
- 国宝・重要文化財(美術品)
硯箱は長方形で懸子付・合口造り、四脚付である。文台とも梨子地に松樹とそれに絡む藤の意匠で、高蒔絵・平蒔絵に金銀切金を散らす室町時代の伝統的な蒔絵技法である。文台四脚の葉状刳形や硯箱の形式などは唐様を示す特異な例であり、また文台硯箱の一具として作られた初期の遺例としても数少なく貴重である。
