木造地蔵菩薩坐像 もくぞうじぞうぼさつざぞう

彫刻 / 平安

  • 平安 / 1177
  • 1躯
  • 重文指定年月日:19820605
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 瑞林寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 左手に宝珠、右手に錫杖を執り、右足を前方に外して坐る等身の地蔵菩薩像である。頭・躰幹部を正中線で矧寄せる二材から彫成し、肉薄く内刳りを施して頸部を割離し、これに左右外側部、両足部と袖を含む左右の前膊部を矧寄せ、両手先を矧付ける。材は桧で、表面に布貼サビ下地が残り、玉眼を嵌入している。
 平滑に整えた素地の像内には、ほぼ全面に及ぶ墨書が認められる。その中心をなすのは、梵字及び漢訳の宝篋印陀羅尼、梵字仏頂尊勝陀羅尼、地蔵真言、大日如来三身真言等で、右膝裏に書かれた造立記によって、治承元年(一一七七)八月彼岸中に法橋□慶を大仏師として本像の製作が始まり、有慶、明賢、宗慶等が小仏師としてこれに加わったことや、他に漆工藤原成重、守安、入道有西等十人余の僧俗がこの作善に結縁したことがわかる。
 本像の、上躰が高く両膝部の深い構成をはじめ、控えめながら写実的な肉付や質感がよく表れた衣襞は、鎌倉時代慶派の諸例に通ずるものであり、大仏師法橋□慶は、同年十二月十七日、法橋に叙せられた康慶に比定する可能性がある。

木造地蔵菩薩坐像

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