八家秘録及諸真言目録 はっけひろくおよびしょしんごんもくろく

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 平安

  • 平安 / 1091
  • 10帖
  • 重文指定年月日:19890612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 青蓮院
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 入唐八家【につとうはつか】(最澄、空海、円仁、円行、恵雲、常暁、円珍、宗叡)の請来目録と、それらをまとめて分類、整理した安然【あんねん】撰の『諸真言目録』とをあわせて書写した平安時代後期の写本である。八僧の請来目録各一帖に、宗叡については別録一帖を添え、さらに安然の『諸真言目録』を加えて全十帖を一具としている。
 体裁はいずれも粘葉装(現状は紙撚綴)、茶地金銀切箔散旧表紙に「傅教大師」等と外題がある。料紙は楮交り斐紙に押界を施して用い、半葉七行に端正に書写している。文中にはまま朱書および墨書の校合書入れがあり、各目録の序文、上表文等の部分には朱仮名、ヲコト点(仁都波迦点)が加えられている。各帖の末には、寛治五年(一〇九一)九月から十一月にかけて書写あるいは校合した旨の僧勝豪の奥書があり、この十帖が勝豪の書写になるもので、円融蔵の谷御本、双厳蔵本等によって校合したことを伝えている。
 入唐八家の請来目録のうち、最澄、空海、常暁、円珍のものは、それぞれ自筆本あるいは平安時代古写本が既に国宝または重要文化財に指定されているが、円仁の目録は既指定のものと別目録であり、他の三僧のものとあわせて、いずれも現存最古の写本と目されるものである。
 『諸真言目録』は『諸阿闍梨真言密教部類惣録』の名で知られるもので、八家の請来目録に記された密教典籍を二〇に部類して作成した目録である。各典籍にその請来者名等を注記し、平安時代前期に唐から日本にもたらされた密教典籍の全容を示している。その伝本には平安時代古写本も数種知られているが、この青蓮院本は撰述年時を仁和元年(八八五)とし、また尾題に次いで天暦二年(九四八)に明達が勘定したことを注記するなどの特徴がある。
 この青蓮院本は八家の請来目録とそれらを集大成した安然の目録を一具に書写した平安時代古写本として仏教史研究上に価値が高い。

八家秘録及諸真言目録

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