この芸能は兵庫県養父【やふ】郡大屋町の大杉部落の二宮神社に八月十六日奉納される太鼓踊の一種で、鬼踊ともいう。踊の構成は、新発【しんばち】意一人、中踊り四人、側踊り五〇~六〇人、歌い手六~七人、笛吹き一~二人からなる。
新発意は、踊り全体の指揮者で、陣笠、麻袴、白衣、草履ばきで軍配扇を持つ。中踊りは踊りの中心となるもので、背に「うちわ」と称する大幣な負い、腰に太鼓をつけ撥を持つ。側踊りは中踊りを取り巻いて輪舞するもので、部落の各戸から参加する。腰に太鼓を着け撥を持つ。歌い手は手に五色の幣を持ち、笛は横笛である。踊りは、中踊りを中心として側踊りが円陣を画き、跳躍しながら太鼓を打つ。
太鼓踊の一型式を示すもので、地方的特色の顕著なものである。