本件は、古墳時代前期の五色塚(ごしきづか)古墳から出土した埴輪を中心とする出土品一括である。
五色塚古墳では墳頂と墳丘平坦面にそれぞれ埴輪が密接に樹立されており、三重に墳丘を囲繞する。この埴輪列は鰭付円筒埴輪と鰭付朝顔形埴輪を中心に構成されており、その配列は規則的である。墳丘に対して鰭が平行になるように樹立され、鰭付円筒埴輪が五点ないし六点ごとに鰭付朝顔形埴輪を一点樹立する。また、外堤でも埴輪列が一部確認されている。なお、周濠内には、三ヶ所の島状遺構が確認されている。そのうち北東の島状遺構では、鰭付円筒埴輪と蓋形埴輪とを組み合わせた埴輪棺が確認されており、土師器壺を副葬品にもつ。
五色塚古墳出土の埴輪には、すべて黒斑がみられる。鰭付円筒埴輪は、四条突帯五段構成と五条突帯六段構成とに大別でき、それぞれ相似た形態をなす。底部高が高く、底部に半円形の透孔をもち、一条目突帯から最上段突帯の間に鰭を付す形態である。器高は、平均して前者が百センチメートル、後者が百十四センチメートルを測り、突帯間隔は約十七・五センチメートルで共通する。これらの特徴から、形態と法量において強い規格性をもった生産体制がうかがわれる。