我が国の彫刻の主流を占めて来た木彫像は、平安時代以降の独特の技法の展開をみせて来た。
すなわちその造型技術や内部構造、仕上技法等は歴史的に変遷しており、修理技術においても同様である。現代におけるこれら木彫像の修理については、以上の諸技術はもとより、像の形式、時代的特色等を十分熟知した上で、材料や技法を吟味しながら、修理対象の元の状態をできるだけ尊重し、永続性のある修理を行うことに務めなければならない。そのためにも多年の修理経験にもとづく適切な判断力と高度な技術が要求されるものであり、保存技術として選定することが必要である。