善通寺伽藍并寺領絵図 ぜんつうじがらんならびにじりょうえず

歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 鎌倉

  • 鎌倉
  • 1鋪
  • 重文指定年月日:19850606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 善通寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 空海誕生の霊場として著名な善通寺の伽藍ならびに周辺の寺領を描いた絵図である。図は楮紙十二枚を継いで料紙とし、南を上にして東側中央に善通寺伽藍を掲げる。本図の中心をなす善通寺伽藍部分は、建築史上にも注目されるもので、境内を界線にて結界し、中央に唐の青龍寺金堂を模したという二階七間の金堂を描いている。また、仲村・弘田両郷の条里区画をもって示された寺領中には「そうしやう」「田ところ」などの寺僧、庄官や名主名が注記されるほか、三箇所の溜池とそこから導かれた用水が太い墨線によって詳細に描かれているのは、これらの用水が善通寺による一円保の経営にとって重要な意味をもっていたことを表している。図中に描かれた五岳山の山並や樹木などの大和絵様の筆法や、伽藍配置が仁治四年(一二四三)三月二十一日に当寺に詣でた道範の『南方流浪記』の記事と一致するところから考えて、本図は鎌倉時代中期頃の製作になるものとみられる。
 なお夲図には徳治二年(一三〇七)裏書があるが、筆跡等よりみて、この部分は徳治相論時の追記と認められる。

善通寺伽藍并寺領絵図

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