堂々たる形状の銀製花盛器。曲線的な把手や足には菊の葉をあしらい、胴部中央には菊花に鷹を、下方には満開の桜花を貼り付ける。さらに細部を見ていくと、頸部の銃、中央のサーベルやリボン、足元にあしらわれたラッパなどのモチーフがこの花盛器を特徴付けている。これは久邇宮朝彦親王の第八王子、朝香宮鳩彦王と明治天皇の第八皇女、允子内親王の結婚祝いとして明治43年(1910)5月に陸軍高等官一同から献上されたもの。鳩彦王は、この当時陸軍歩兵少尉を務めており、陸軍からの贈り物にふさわしい意匠であることが分かる。鳩彦・允子両殿下の第一王女紀久子は昭和6年に侯爵鍋島直映嗣子直泰へ降嫁している。