字岩屋とせられる丘陵上に存するもので封土は失われ石室のみが南面して特異な存在をなしている。古くから開口していたらしく岩舟や岩屋の字名もこれに基いたものと思われる。石室はもと複室の形式をそなえていたと見做されるが現在は奥室のみが残存する。これは凝灰岩の切石によつて組合されたもので長さ約7尺1寸幅約6尺3寸、高さ約5尺8寸を有し、屋根は家型をなし、側壁は一枚石奥壁は二枚石より成る。前壁の中央に戸口を設け、その左右には縦に溝が刻まれ、前室の側壁を篏入する構造を示している。前室は、側壁、天井石が缺失し、底面に二枚の敷石を残すに過ぎない。前方の地域に石棺の一部と認められる石材が存している。一種の横穴式石室に属するが、家型石棺の形式をもそなえており特殊な構造を示す石室として稀有の例である。