工芸品 / 鎌倉
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鎌倉
- 小札は錆地黒漆塗の平札で、鉄一枚交ぜとする。威毛は紫韋の毛引威で、耳糸は白、紫、紅、萌黄色の亀甲組である。畦目と花緘は白、紫、紅、萌黄色の啄木組で、菱縫は紅韋を施している。仕立は立挙の前が二段で、後ろは補修している。長側は四段で、草摺は三間五段下り、前後の裾板は二つに割っている。脇楯は欠失する。金具廻、韋所のうち胸冠板は獅子牡丹文の染韋包で、紅五星韋の小縁をめぐらし、色糸の伏縫を施し、鍍金の覆輪をめぐらしている。障子板は表は前と同じ、裏は籠目紋地に州浜菖蒲牡丹文の染韋を張る。化粧板は菖蒲韋包で、紅韋と白綾の端喰を付す。八双鋲は鍍金の菊座と小刻二重付の笠鋲を二個ずつ打つ。
胴前の弦走韋は欠失する。
- 胴高30.5 草摺高29.5 胴廻90.0 (㎝)
- 1領
- 重文指定年月日:19720530
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 防府天満宮
- 国宝・重要文化財(美術品)
鎧は武将着用の甲冑として、中世甲冑の主たるものであり、平安時代から鎌倉時代に最も盛行した。しかしその遺品はきわめて少ない。これは全体に精緻な技法がみられ、染韋の文様は特に珍しく、鎌倉時代の特色がよく示されたものである。当代の鎧として資料的価値が高い。