琴棋書画沈金文台 きんきしょがちんきんぶんだい

工芸品 / 室町

  • 室町
  •  端食みをつけた長方形の甲板両端に筆返しを、裏面四隅には低い刳り形の四脚をつけた通例の文台。総体黒漆塗り。
     文様は、全て沈金で、甲面には中央に団扇形を画し、内に庭前で琴棋書画をする唐人物を、外には菊、牡丹等の花文を彫る。筆返し外側面には丁子唐草文、甲板短側面には桐唐草を、四脚表には菊唐草を彫る。金具は全て金銅素文。
  • 縦33.4 横58.4 高10.9 (㎝)
  • 1合
  • 重文指定年月日:19880606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 小松天満宮
  • 国宝・重要文化財(美術品)

文台とは一般に和歌や連歌の会席において短冊・懐紙をのせる台のことで、歌会の中心的役割りを果たす重要な存在であり、室町後期以降多く硯箱と一具として製作・使用されるようになる。室町時代の文台の優品には蒔絵の作例が多いが、本件では、中世新たに中国から伝えられ、当時珍重された沈金(刀刻線内に金箔を押込めて文様を表す技法)で加飾されている。
 文台の運刀法はよどみがなく筆意がある巧妙なものであるのに対し、硯箱のそれは繊細・巧緻であるなど、両者の技法・作期にはいささかの差異があるが、共にわが国における初期沈金遺例中、刀技に優れ、保存良好な文台・硯箱の稀少な作例である。
 なお、社伝によれば連歌を通じて霊元上皇と親交のあった小松天満宮初代別当能順【のうじゆん】(一六二八~一七〇六)が共に上皇より下賜されたもので、以来当社連歌会に一具として用いられている。

琴棋書画沈金文台

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