絵画 / 鎌倉
この断簡は、もと関戸家本病草紙十五段一巻のうち第二段にあたるもので、戦後同絵巻が各段ごとに切離されるに及び、他の数段とともに関戸家を出たものである。病草紙は異疾奇病を写実味あふれる筆致で描いた、平安時代末期大和絵の貴重な遺品として名高い。本図には同輩の女達が熟睡している中、一人眠れずに半身を起して、灯下に数を読むような素振りをみせる女性の姿が暢達な筆致をもって巧みに描き出されている。断簡とは言え、重要なものである。
紙本著色地獄草紙断簡(火象地獄)
紙本著色地獄草紙断簡(解身地獄)
紙本著色地獄草紙断簡(沸屎地獄)