出雲岡田山古墳出土品 いずもおかだやまこふんしゅつどひん

考古資料 / 古墳

  • 島根県
  • 古墳
  • 一括
  • 島根県立八雲立つ風土記の丘 島根県松江市大庭町456
  • 重文指定年月日:19850606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 六所神社
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 松江市の南郊、意宇平野西縁の低丘陵裾部には七基からなる岡田山古墳群がある。本古墳は岡田山一号墳とも呼ばれている。墳丘は全長約二四メートルを測る三段築成の前方後方墳で、西に開口する横穴式石室(全長五・六メートル)を主体部とし、内には主軸に沿って凝灰岩製の組合式石棺(長さ一・五メートル)を置く。
 一括遺物は、大正時代に、この石室および石棺内から検出されたもので、武器類、装具類、馬具類に大別される。後漢に比定される内行花文鏡が共伴することの特異性は別にしても、大形の馬具および馬鈴等の馬装具、刀装の様相、須恵器の特色など副葬品全体の組み合わせは山陰地方における後期古墳の代表的な特徴を具えており、おおよそ六世紀に比定される内容を伝えている。
 こうしたなかで最近になって象嵌銘の存在が明らかとなった銀錯銘銀装円頭大刀は、刀身の一部を欠くとはいえ、出土品中の白眉である。把円頭に意匠を凝らした精緻な双鳳亀甲繋文の象嵌も注意を惹く。刀身平の鋒寄りにある銘文「各田卩臣」(額田部臣)という氏姓の存在は、部民制成立の時期が、他の共伴品の年代とも相まって、少なくとも記紀の内容から知られる時期以上に遡り得る資料としてきわめて注目される。加えて「臣」の姓の成立期を究明するうえにも貴重なものである。我が国の古代国家形成期の実熊をみるうえに欠かせない内容をもっている。出土品の一括として、その学術的価値はきわめて高い。

出雲岡田山古墳出土品

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