大峰山寺境内 おおみねさんじけいだい

史跡 社寺跡又は旧境内

  • 奈良県
  • 吉野郡天川村
  • 指定年月日:20021219
    管理団体名:
  • 史跡名勝天然記念物

大峰山寺は、奈良県南部の大峰山脈北部の主峰である標高1,719mの山上ケ岳 の山頂に所在する山岳寺院である。山上ケ岳は、古来金峯山、金の御嶽とも呼ばれ信 仰を集めてきた山であり、平安時代前期から、清和・宇多上皇や藤原道長・師通など 皇族・貴族が参詣したことで知られる。平安時代初期には、山頂に堂宇が営まれてい たと考えられており、鎌倉時代の本堂には、金剛蔵王権現が祀られていたと伝えられ、 山下蔵王堂(現在の金峯山寺蔵王堂)に対して山上蔵王堂と通称された。山上蔵王堂 では修験道の重要な儀礼が数多く行われ、大峯修験の根本道場となった。山上蔵王堂 は、専門修験者の他、民間の講員が多数山上ケ岳に参拝するようになると、山上本堂 または大峰山寺といわれるようになる。現在の大峰山寺本堂は、天文3年(1534) に焼失したものを、元禄年間(1688〜1704)に再建したものであり、桁行正 面8間・背面7間・梁間8間・寄棟造の大きな建物であり、重要文化財に指定されて いる。
  昭和58〜61年の大峰山寺本堂の解体修理に伴って発掘調査が実施され、平安時 代初期には既に本堂の建物があり、その後幾度かの火災に遭っていることが確認され た。また、調査の結果2体の黄金仏をはじめ山岳信仰に係る多くの遺物が出土した。 なお、江戸期から明治・大正期にかけて多数の遺物が発見された金峯山経塚は、山頂 にある蔵王権現が湧現したと伝えられる湧出岩と呼ばれる巨岩塊に続く北斜面一帯と 考えられている。
  こうして出土した経箱・経筒・紙本経・銅板経・神仏像などの遺物は、いずれも国 宝や重要文化財に指定されており、特に寛弘4年(1007)在銘の藤原道長が納め た経筒は著名である。
 山上ケ岳山頂は、高さ100mに及ぶ急な崖になっており、山頂の巨岩などを巧み に取り入れ、大峯修験を代表する表と裏の行場が設けられ、境内には大峰山寺護持院 の宿坊も建てられている。
  このように大峰山寺は、大峯修験の根本道場として成立、発展し、発掘調査結果か らもその内容が確認されるものであり、我が国の修験道の歴史を考える上で重要な遺 跡であることから、史跡として保護しようとするものである。

大峰山寺境内

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