赤楽茶碗(乙御前) 光悦作
あからくちゃわん(おとごぜ) こうえつさく
工芸品 / 江戸
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光悦
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江戸時代
- 素地は鉄分の多い赤褐色陶胎、腰に丸みを有する半筒形の茶碗で、手捏ねで薄造りに成形する。胴から腰、高台際に掛けてはゆったりとした丸みを持ち、体部は高台際を少し膨らませ、全体を楕円とする。口辺は山道状に起伏をつけ、口縁は大部分を打ちに抱え込むが、一方をわずかに端反り気味に仕上げる。体部は全体を丁寧に篦削りを施して整形するが、口辺は鋭く削り込んで仕上げる。底には極めて低いやや小さな高台を円板状に削り出す。内面底部の見込みは広くほぼ平らに仕上げるが、焼成時に高台部が少し内側に突出する。
全体に高台まで透明釉を掛け、艶やかに良く熔けて、暗赤褐色を呈する。
体部の腰回りには太い窯割れが一筋廻り、一部を繕う。胴部の二方には口縁から腰にかけて大きく窯割れが縦に生じ、また内面二方の腰から見込みにかけては窯割れが生じる。口辺には四箇所小さな窯割れが生じる。
口辺の一部を繕う。
高台には目跡が三箇所ほど残される。
- 高9.0 口径10.8 高台径4.0 (㎝)
- 1口
- 重文指定年月日:20090710
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 個人
- 国宝・重要文化財(美術品)
本阿弥光悦(1558~1637)の赤楽茶碗を代表する作品の一つである。光悦は元和元年(1615)に京都・鷹ヶ峯に庵住するようになって後、本格的に楽焼の製作を始めたが、光悦の赤楽茶碗は黒楽茶碗に比べ個性的な作風が多い、この茶碗もふっくらとした姿を作り出しており、銘の「乙御前」(ほほのふくらんだお多福)にぴったりの作風を示している。口縁に起伏を作り出し、端部を内や外に反らせ、底には小さな円盤状の高台をつけるなど、光悦ならではの自在な造形を作り出している。