八幡宮は、津和野城跡の南西麓に鎮座する神社で、鷲原八幡宮とも呼ばれる。現在の社殿は、16世紀中頃に再建された社殿を基本として、18世紀初頭に手が加えられたものである。
社殿の構成は、本殿、拝殿、楼門を一直線上に並べ、拝殿と楼門の間に池を設けて橋を架ける。本殿と楼門は、室町時代の永禄11年(1568)の建築で、細部の様式や技法に室町時代後期の特徴をよく示す。拝殿は、江戸時代の正徳元年の建築で、南面に楼門から渡る潔斎橋を付属する。
八幡宮は、本殿と楼門が永禄年間まで遡る数少ない社殿であるとともに、社殿の構成や翼廊をもつ楼門の形式に顕著な地方的特徴を有しており、中国地方西部における神社建築の展開を理解する上で重要である。